日本のちょっといい話
犬がご主人の代わりにお伊勢まいり
江戸時代になると大名の参勤交代が始まり、街道が整えられ、宿場や茶店や商店ができそれに伴い庶民が旅行する機会も増えました。
驚くほど治安がよく女性が一人でも旅をすることも可能でした。
街道が整備されるに連れ、流通が発達するとお伊勢参りや金毘羅参りが庶民の間で盛んに行われるようになりました。
特にお伊勢参りが大ブームとなり、日本全国から集団で伊勢神宮に参詣したそうです。
江戸時代、ほとんどの人が「一生に一度はお伊勢参りに行きたい」と思っていました。
しかし、体が弱いなどの事情があって、伊勢神宮に参詣できない人もいました。
そのご主人の代わりに伊勢神宮を参詣したと言われているのが「犬のお伊勢参り」と言われています。
犬が首にお布施を下げて伊勢まで旅をし、目的を果たしたらまた飼い主のところへ戻って行ったというのです。
飼い主が伊勢参りをする旨を書いたものをしめ縄でつけ、道中でかかる路銀を袋に入れ、自分の家の住所を書いたものを首にぶら下げて送り出しました。
それを見た同じ方向に行く旅人が道案内をしてくれたり、旅籠の人がお金をちょっと取って食べ物や水、を与えてくれたり、中には感心な犬だと言うことでお金を袋に入れてくれる人もいました。
こうして多くの人の助けを借り、役目を果たし無事に飼い主のもとへ戻ることができたと言うのです。
中には出かける時よりも帰って来たときの方が路銀が増えていたという話まであります。
犬だけでお伊勢参りをするなんて、そんな馬鹿なとお思いでしょうが、たくさんの記録が残っているのです。
最初の犬の伊勢参りは明和8年(1771年)4月16日、昼頃と日時まで記されている。
このように詳細な記録がいくつも残っているのです。
それを可能にしたのは江戸時代の人々の温かい心と信仰心の強さがあり、犬であっても目的を持っているなら助け合う、日本人の気質を象徴する出来事です。
こんな国は世界中探しても他にはないでしょう。
これがお隣の国の「C国」や「K国」であったならまたたく間にお金を取られ、犬も食べられていたでしょう。
今でも中国南部の玉林市では毎年「犬肉祭り」が行われていて、祭りの期間中に食肉処理される犬は約1万匹に上るとみられ、その多くが火鍋で提供されている。
「首にお金を下げた食料が歩いてきた」とみなされ絶好の標的になったことでしょう。
近年まで人肉食の風習があった国ですから、犬など当然のことでしょう。
いくら何でもそれはないだろうと思われるかもしれませんが、「中国(カニバリズム)」と検索してみるといくらでも出てきます。
「犬のお伊勢参り」の話から日本人の信仰心の強さ、動物への接し方、心の豊かさ・優しさが伝わってきます。
そんな犬のお伊勢参りについてまとめられた本も出版されています。
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